幻の九十九里鉄道

JTB出版の「鉄道廃線跡を歩くIII」が出たので、さっそく買って見る。このシリーズも 比較的短い間にパート3まで出るので, かなり人気があると思えるが、実際、廃線歩きはかなりマニアックな 趣味で、実行している人はどれほどいるか。 この本もパート3まで来るとかなりきびしい物件、つまり、古すぎて現地に行っても痕跡が殆どないようなものも 紹介されている。そういう所に遠出して行くと、多分がっかりするんじゃないかな、大抵の人は。 まあ、廃線見物は益なき散歩の建前の理由というスタンスならいいけど。

この本では、私の田舎の近くの廃線跡が3つ程紹介されていた。やっぱり田舎なんだな、これだけ 廃線があるんだもの。特に九十九里鉄道は隣の町で、僕が生まれる前に廃止されているが、 家にあった古い地図で存在は知っていた。小学校の時に自由研究で「幻の九十九里鉄道を求めて」 という感じで、調査しようと計画したが、実現しなかった。実際に行っても殆ど痕跡がないからである。

今回GWに、かの本に唯一の最大遺構と紹介されていた脚橋跡を中心に見学に行く。 真亀川の橋の近くの県道沿いにあるバッティングセンターの駐車場に車を止めて、川に沿って田んぼの 中に入って行くと、線路跡が草に覆われた土手として田んぼの中に出現する。 これは、明らかに線路跡で、かの脚橋跡もすぐに発見できたが、なんと、その下を流れていたと 思われる川はもうない。しかし、この土手、言われなければとても線路跡とは思えない。 でも、こんな所に無意味に土手があるのも妙である。真亀川より北側は用水路になっているようである。 南に向かって歩く。土手の上は草が多くてとても歩けないので、並行する畔道を歩く。 田園から集落に入ると、鉄道跡は不思議な長い空き地になる。それは民家と道路の間にあり、 野原になっているところもあれば、ゴミ捨て場になっているところもあるが、一応その土地は 利用されず空けてあって、いつでも再び鉄道に戻すことが可能になっている。九十九里鉄道跡は、 廃止後35年たった今でも、土地だけは保存されているようである。 暫くすると、未舗装の道路になる。家徳駅跡と思われる場所まで言ったが、駅の痕跡はない。 特に栄えている訳でもない地味な集落である。

このあたりは、東金市になるのだが、東金市の間はそんな感じで、放置されているか、 未舗装道路になっている。九十九里町に入ると一転して立派な自転車道路になる。 もっとも、これが整備されたのはつい最近みたいだ。 この道が海まで続いているようである。

この現代遺跡(35年前の遺跡)の旅はどう考えても退屈じゃないか?僕はうちがすぐ近くだから 悔しくないけど。まあ、宝探し見たいなところが面白いのかも知れないが、 かのシリーズ本で、発掘調査し尽くされてしまったようだ。 他に、成田鉄道も紹介されていたが、これは戦後すぐに廃止されてしまったので、殆ど痕跡は ないようだ。だから、これは私の帰省路にあるのだが、訪ねなかった。 このレベルになると、現地に行って昔この風景の中を汽車が走っていたのだなと妄想するだけなのかな? 私の母親はこの鉄道の終点(八日市場)のすぐ近くに住んでいたそうだが、子供の時に廃止され、乗ったことは無いそうだ。 でも、戦争中、その父親が、いつもこの電車に乗って戦地から戻って来たそうである。

1997/5/7